現在流通している鶏肉には「ブロイラー」「地鶏」「銘柄鶏」の3種類があります。
その中でも「ブロイラー」と「銘柄鶏」はあまり聞き慣れない名称ですね。
ここではあまり知られていない3種類の鶏(鶏肉)の違いについて解説します。
鶏肉を買うときは何となく買っていることが多いと思いますが、ここで鶏肉の違いを知ることでこれから鶏肉を購入するときの基準ができます。
「何で同じモモ肉なのにこっちは値段が安くて、こっちは高いんだろう?」という謎もわかるようになります。
「ブロイラー」「地鶏」「銘柄鶏」の違い
ブロイラー
ブロイラーは最も目にする鶏肉です。
私たちが鶏肉を購入する際に目にする「若鶏」と表示してある鶏肉がブロイラーです。
ブロイラーは短期間で成長させ出荷時期を早めるために作られた品種の鶏なので「若鶏」というわけです。ほとんどの場合飼育期間が55日未満で出荷されてしまします。
ブロイラーは短期間で数多く飼育されて出荷されるので価格が安くなります。
現在では主な原産国であるブラジルなどから安いブロイラーが大量に輸入されます。
スーパーなどで鶏肉を特売しているときはほとんどこの輸入の安いブロイラーです。
味はどちらかと言うとあっさり淡泊で、肉質は比較的柔らかいです。この柔らかな肉質は、狭い飼育場で数多く飼育しているため鶏が運動不足になり筋肉があまり必要ではないためです。
そしてブロイラーの原点は、炙ったり焼いたりしてもカタくなりにくい鶏としてできた品種なのでもともと肉質は比較的柔らかい鶏肉なんです。

ブロイラーを使うならこんな料理がおすすめ
- 竜田揚げ
- タンドリーチキン
- チキンカレー
安価なブロイラーは場合によっては少しニオイが気になることがあるので、タレに漬け込んであげたり、焼いたり、煮たりする方が美味しく食べれるときがあります。
銘柄鶏
最近よく見かけませんか「〇〇山鶏」とか「〇〇ハーブ鶏」という名前がついている鶏肉。
一瞬「ん?地鶏?」と思った事がありませんか?思ってしまいますよね。しかし、全くの別物です。
かといって低品質な鶏肉ではありません。
その証拠に普通に売られている鶏肉より少し値段が高いはずです(普通に売られている鶏とはブロイラーです。しかもブロイラーは輸入物は低価格です)
そしてこの名前の付いている「地鶏」ではない鶏を「銘柄鶏(めいがらどり)」と言います。
ではこの「銘柄鶏」とはどんな鶏なんでしょうか。
実は現在「銘柄鶏」には明確な定義と基準がありません。
従って現状では「銘柄鶏」は日本国内で飼育し、「地鶏」に比べ生産性が高い食用の鶏ということになります。
この「銘柄鶏」は主に国産のブロイラーを飼料や飼育環境を工夫・改善し、肉の味や香り、風味を良くした鶏を「銘柄鶏」として販売しています。
こういうことから、普通に売られている鶏肉より少し値段が高いということになります。

銘柄鶏を食べるならこんな料理がおすすめ
- 唐揚げ
- 参鶏湯(サムゲタン)
- チキン南蛮
ブロイラーよりも肉の風味や香りがあるので、どんな鶏料理にも合いますが、できるだけ銘柄鶏のいいところを生かした料理がいいと思います。
地鶏
「地鶏」と言えば、「値段が高い」「美味しい」というイメージですよね。
牛肉で例えるなら、ブランド和牛といったところです。
しかし、「地鶏」と「ブランド和牛」には決定的な違いがあります。
それは肉質です。
地鶏 = 弾力がある
和牛 = とても柔らかい
これはどういう事かというと、飼育方法の違いが肉質に表れているんです。
地鶏はのびのびとよく動くように飼育されているので、筋肉質な身になります。
それに対して和牛は狭い牛舎の中で運動不足の状態で育てるので身に脂(サシ)が入るので、身がとても柔らかくなります。
この飼育環境の違いは「地鶏」と「ブロイラー」にも当てはまります。
地鶏 = 弾力がある
ブロイラー = 比較的柔らかい
ブロイラーも狭い鶏舎で運動不足で飼育するので柔らかい肉質になります。
今、述べたように地鶏はのびのびと運動して筋肉質な鶏なんです。
このように筋肉質な鶏を飼育することなどが日本農林規格(JAS)によって基準が定められていて、この基準を満たさない鶏は「地鶏」として認められないのです。
こうした厳格な基準で飼育されているのが「地鶏」です。
またこの基準を満たすためにはコストがかかるので地鶏の販売価格が高くなってしまうのです。

地鶏を食べるならこんな料理がおすすめ
- 焼き鳥
- チキンソテー
- きりたんぽ鍋
地鶏はあまり手をかけずにシンプルに地鶏の味を感じる料理がいと思います。
地鶏の筋肉質な身の弾力と芳醇な香りを楽しむ食べ方がいいですね。
「ブロイラー」「地鶏」「銘柄鶏」の比較
ブロイラー | 銘柄鶏 | 地鶏 | |
基準 | △ | △ | 〇 |
味 | サッパリ・淡泊 | 風味や香りがある | コクがある・芳醇 |
価格 | 安い | やや高い | 高い |
地鶏には明確な基準がありますが、ブロイラーと銘柄鶏には定義や基準が明確ではありません。なのであまり手間や工夫もせずに飼育した物を「銘柄鶏」として販売していてもわからないということになりかねません。
肉の味については価格に比例しています。しかし、地鶏を食べたことのない人が地鶏を初めて食べたときは、いつも食べ慣れた鶏肉とは違うので、それほど美味しく感じないこともあります。
この辺は個人の好みです。
まとめ
「ブロイラー」「地鶏」「銘柄鶏」の違いがわかっていただけたでしょうか。
それぞれの肉質を知ることができたので、今度鶏肉を購入するときは売られている鶏肉を見分けることができるようになっていると思います。
購入する鶏肉に合わせた料理も作れれば今までの鶏料理がワンランク上がるはずです。
最近は食の安全という言葉をよく聞くようになりました。
銘柄鶏は国産のブロイラー(若鶏)を飼料や飼育環境を工夫・改善して飼育した鶏なので、安心できる鶏肉だと思います。
もちろん地鶏も安心・安全な鶏肉ですが、日常的に食べる鶏肉としては高価なので、やはり銘柄鶏がいいですね。
明日の晩ご飯はさっそく鶏肉料理はいかがですか。